映画館を出た帰りに、考えてしまったこと
先日、『エレノアってグレイト』という映画を観ました。
スカーレット・ヨハンソンが監督を務めた作品で、90代の女性・エレノアが主人公です。
友情や喪失、人生の後半に訪れるさまざまな出来事が描かれているのですが、その中でとても印象に残った場面がありました。
エレノアが若い女性と話しているとき、
「この年になっても、中身は若い頃とあまり変わらない」
そんなことを話す場面です。
その言葉を聞いた瞬間、思わず「本当にそうだよね」と思いました。
子どもの頃は、年齢を重ねれば別の人になるような気がしていました。
50歳になれば50歳の人になり、
80歳になれば80歳の人になる。
大人は最初から大人だったような気がしていたんです。
でも実際は違います。
経験は増える。
知識も増える。
身体も変わる。
けれど、心の奥にいる自分は案外そのままなのかもしれない。
そう考えたら、自分たちより年上の人たちのことも少し違って見えてきました。
街ですれ違う人も、
電車で向かいに座っている人も、
若い頃があって、
夢中になったことがあって、
好きな人がいて、
将来に不安を感じた夜もあったはずです。
その人たちが長い時間をかけて今ここにいる。
そんな当たり前のことを、数年前まではあまり考えたことがありませんでした。
そして、ふと思ったんです。
今のわたしたちは、少し不思議な場所にいるのかもしれない。
若い頃の気持ちをまだ覚えている。
だけど、年齢を重ねることも少しずつ経験している。
日々新しい経験をしていくけれど、変わらない部分もたくさんある。
だから、90代の人の気持ちを本当に理解することはできなくても、
「もしかしたらこういう感じなのかな」
と想像することはできる。
そして同時に、20代や30代の頃の自分の気持ちも、まだどこかに残っている。
その両方を知っている場所にいる。
わたし自身、10代の頃と比べれば変わったことはたくさんあります。
仕事も暮らしも、
考え方も少しずつ変わりました。
でも、
何に心が動くか。
何を美しいと思うか。
どんなものに惹かれるか。
そういう核のような部分は、あまり変わっていない気がします。
歳を重ねるというのは、新しい誰かになることではなく、もともといた自分と長く付き合っていくことなのかもしれません。
90歳になったわたしも、案外いまのわたしとそれほど変わらないのかもしれない。
映画館を出て、家まで歩く帰り道。
そんなことを考えていました。