本当の心地よさは、ほんものの素材からしか生まれない
私はいつも、生地を触るときに、
耳を澄ますような気持ちになります。
糸の張り、織りの密度、わずかな光沢。
それぞれの素材には“呼吸”のような個性があって、
どんなふうに時間を重ねていくのか、
手の中で静かに教えてくれる気がするのです。
リネンやコットンなどの天然素材は、
着る人の体温や動きに寄り添いながら、少しずつ変化していきます。
繊維がやわらかく馴染み、糸の間に空気が入り、
光をやさしく返すようになっていく。
時間をかけて“生きていく”服。
それは、日々をともに過ごすうちに、
少しずつ自分の一部になっていくような存在です。
あるお客様が、数年前にお迎えくださったドレスの写真を
先日メールで送ってくださいました。
淡く退色したリネンが、光をまとって、
まるで記憶の中の景色みたいに美しかった。
「この服と季節を重ねてきました」
その言葉に胸がいっぱいになりました。
布が人の人生の時間を纏いながら、
静かに生き続けている──
そんな瞬間を感じられることが、
服づくりを続けている理由のひとつだと思います。
だからこそ、私は
早く消費される服ではなく、
10年先にも、美しいと思える一着をつくりたい。
ほんものの素材には、
時間とともに深くなる“静かな力”があります。
そして、人の手で丁寧に仕立てられた服には、
未来へと息づくやさしい温度が宿っています。
— EMILY
BOUTIQUE TOKYODRESS
http://boutiquetokyodress.com